お知らせ 静岡の未来につながる、GraanGelukの物語
2025/11/30
今年の夏、私はオランダ東部の「GraanGeluk(グラーンゲルック)」という農業プロジェクトを訪れました。
オランダ語で“穀物の幸せ”を意味するこの場所で感じたことを皆様にも少しシェアいたします。
GraanGelukプロジェクトを立ち上げたのは、ジャーナリスト出身のマルセルさん。工業的農業の問題を取材する中で、「批判だけでは変わらない。自分で新しい答えをつくろう」と決意し、農薬を使わない古代穀物の栽培を始めました。
GraanGelukには、市民が年間契約で農作業に参加する「穀物シェア制度」があります。
種まきや収穫を手伝い、育った穀物を分け合う仕組みで、「関わった麦で焼いたパンは格別においしい」と参加者は語ります。味だけでなく、地域の風や季節を感じられる特別な体験なのだと思います。
また、地域の農家・製粉所・パン屋・ビール醸造所が協力し、育った穀物がそのまま地域住民の食卓へ届く循環がつくられています。
私が実際に訪れたパン屋では、GraanGelukの小麦で焼かれたパンが並び、「どこで、誰が、どう育てたか」がわかる、物語のある食べ物として親しまれていました。
オランダにはEUの環境政策による支援制度がありますが、マルセルさんは言います。「制度は測定できることばかりが評価される。景観の美しさや文化の豊かさは数字にならない」 GraanGelukは、あえて制度の外側で、そうした"見えにくいけれど本当に大切な価値"を守ろうとしています。
「農業は農家さんの仕事」と思いがちですが、食べることは誰もが日々かかわっています。
だからこそ、地元の農産物を選んだり、センゲンサンデーをはじめとする地元のマルシェに行ったり、農業体験に参加することも、静岡の未来につながる大切な行動です。
オランダの小さな町で見た風景は、静岡にもきっとつくれる。
そう信じて、これからも学び、行動していきたいと思います。